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コラム
 
流通チャンネルの多様化とマーケティング戦略 -これからの農協産直-2002年 6月25日 東京農工大学農学部 野見山 敏雄
4 農協産直の七か条
 

 次に、皆さんが、これから産直に取り組む場合に、どういった順番で、どういったことに気をつけて、取り組んでいったらいいのかということを七つくらいに整理しました。第一は、組合長、参事、または販売部長などの経営トップが、その戦略的意思を持って、「産直に取り組みますよ」といった意思がはっきりしているかどうかが大事だろうと思います。それは、何故かといいますと、一般の職員が、スーパーとか生協などから取引のお話があったときに、トップがきちんとした理解がなければ進まないからです。産直はかなり手間がかかる仕事です。共販は、出荷数量だけ市場に伝えればいい、または経済連に伝えれば終わりという話だけど、産直は非常に綿密な打ち合わせが必要で、きちんと担当者を置くということが大事です。その担当者の意見なり位置付けをきっちりするということが大事なわけです。ですからトップが、産直をやるぞっていうときにはまずそのセクションをきちっと決める。またその担当者をきちっと決めるということが大事です。そうすることで相手にこちらの意思が明確に伝わる。ですから第一としては農協トップの頭を変えていくという、皆さんが直談判をしながら考え方を変えていくっていうことが大事だと思います。

 第二は、先程も言いましたけども担当職員を明確化し責任体制をはっきりさせるということです。第三は、これが、場合によっては一番最初に来るかもしれません。まず買い手を見つけることです。例えば埼玉産直センターは微生物農法をやることで生協と結びつくのですが、最初はその生協から「安全で美味しい野菜、本当の野菜はないですか?」ということで呼びかけがあったということを聞いております。ですから、先発している生協や産直センターなどは、買い手側のアプローチに答えながら、そういった知識や技術や経験を蓄積していたわけですね。ですから、これから産直を始める農協またグループは、色んなチャネル,具体的には親戚や地元出身者、都心に住んでいる生活者、そういったところにいろんなメディア・チャネルを使いながら買い手を発見していくことが大切です。まず買い手を見つけることによって次の産直商品の開発につながります。つまり買い手から要望される農産物を作っていく。つまり、「買い手中心の商品開発」という発想が必要になります。もちろん買い手側から、わがままでかなり勝手な要望もあるのですけど、そういうのは皆さんと買い手との相互交渉、またその相互の情報交換の中で、いやこの時期はどうしても農薬をまかなくてはいけないとか、そういったことを認識すれば、完全無農薬から減農薬にするなど、そういった話はよくある話です。ですから、お互いの情報交換を密にする。情報の双方向性というのが産直商品を作っていくのです。

 第四は、農産加工事業を始めようとするときには、自分らが持っている経営資源、人材とか情報とか知識とか施設、そういったことがどの程度利用できるのか。どの程度投資できるのかということをきちんと決めることが大事です。自分達の身の丈に合った形での商品開発を行うことが正しいだろうと思います。いきなり何億もかかる農産加工場を作ったとしても、結局は買い手がいなければ、そういったものはすぐつぶれてしまうという話であります。更に、非常に先進の産直組織、産直農協の陥りやすいところですけど、常に製品のライフサイクルに注意しなければなりません。最初は非常に進んだ農業技術で、減農薬で生産したとしても、後発の産地がさらに進んだ技術を導入してしまうと、全然差別化できていないものになります。ですから常に産直というのはフロンティアをどんどん突き進んでいく必要があるわけで、導入―成長―成熟―衰退といった製品のライフサイクルを考えながら、新しい商品開発、商品チェックをしていく必要があります。

 第五は、より確実な代金決済と資金繰りの手当てということで、産直を全然手がけていない農協では、代金決済に不安がある。特に、お米のように非常に金額が張る商品は、売ったけどお金が返ってこない、回収できないということもあります。その対策としては、産直の離陸期には県の経済連とか全農とかを、リスクヘッジとして介在してもらうという場合もあると思います。特に皆さんが単独で産直を始める場合もあるだろうし、農協を通して始める場合は農協にリスクヘッジをしてもらうといった使い道があるだろうと思います。産直というのは、特にリスクマネジメントが重要になる取引だと言うことをここで確認しておきたいと思います。

 六番目は、最近特に重要になってきているのですけど、信頼性の確保と産直の透明性ということです。特に消費者と生産者が対で、直で結んでいるような産直では、商品の生産から流通まで全過程においてお互いが情報を共有しているわけですから、そういった産直は簡単に信頼性を構築できます。しかし、開放的で広域的な産直では商品に対する信頼性の担保が必要になってくるわけです。つまり、ここ本庄で作った野菜が、東京に行く、横浜に行く、大阪に行く。そういったところと産直を行ったとしても、東京の消費者の人はたまには、来られるかもしれない。しかし大阪の消費者の人は、代表者の人が年に1回来るとかそういった状況だろうと思います。そういった場合は、商品に生産から流通の履歴情報をきちんとつけていくということが必要だろうと思います。ですから生産・情報・流通の管理と公開という部分が、どうしても広域的な産直、現代的な産直では、避けられない問題だろうと思います。たとえば、流通圏を地場、地場は市町村、人が歩いていけるくらいの距離でそれ以外を広域という。そして、取引の関係を特定の生産者と消費者の関係、まぁ産直でありますよね。それ以外の卸売市場流通のように全然相手がわからないような不特定の関係、そういった四つくらいのタイプに分けられます。そうすると、地場で特定といった部分では、商品の情報や履歴などが、非常にわかるわけです。トレーサビリティとかいわなくても、直売所でおばちゃんの作った野菜なら大丈夫ね、といった形ですむのです。広域で特定な取引では、ある意味ではOKだった。だけどこの不特定で広域っていう部分はよくわからないし、不特定で地場っていうのはまぁまぁわかるという。

 この一月から三月の偽装事件、特に産直をめぐる偽装事件では、特定で広域の部分が、ぜんぜんだめだったのです。これはもう私も大変な衝撃を受けました。結局生協は今どうしてるかというと、特定で広域の部分についても、きちんと生産流通の履歴をはっきりさせましょうと、トレーサビリティとまではいかなくとも生産情報をきちんと生産者が記帳してそれを生協や消費者の求めに応じていつでも公開できるというシステムに転換しつつあります。今までは「俺が作るものは俺を信用してくれ、俺が作るものは全部安全だから。」という、人と人との関係でその商品も信頼していたのが、それは全部嘘っぱちだったわけですね。だから、この部分(広域・特定)が三角になってしまう。特にBSEの様に危険、または、不安な物質が混入している、残留農薬みたいな不安な物質が混入しているものについては、その情報開示がより重要になってくると思います。

 最後に、地域農業の発展を目指すポリシーとビジョンという、この辺がある意味では重要だと思います。つまり、単に儲かるからというのではなくて、農協からすれば農協の組合員の営農と生活の発展のために意義ある仕事との認識、そういった協同組合らしい政策と、ビジョンをきちっと持っているか、どうかというのが、これから農協としてやれるのかどうかいうことの分かれ目だろうと思います。

 
 
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